訪問介護の事業所数は過去最多、しかし倒産も過去最多|小規模事業所が生き残る条件を大阪の介護コンサルが解説
株式会社Ne-worth(ニューワース)代表取締役の森中 洋です。大阪府茨木市にて介護業界専門の稼働率向上/人材確保/人材育成/経営改善のコンサルを生業としております。介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、サ高住、訪問介護、訪問看護、どのサービス種別でも対応しております。現在は大阪・奈良・兵庫・京都にて15法人のコンサル・顧問活動に携わっております。お読みいただいた方に少しでも有益な情報をお伝えしたく、経験則に基づいた内容をブログにまとめております。よかったらぜひご覧ください😁
この記事でわかること
▶ 訪問介護の事業所数が過去最多を更新した最新統計の内容
▶ 「事業所数は増加、しかし倒産も過去最多」という矛盾の正体
▶ 大規模法人が強く、小規模事業所が苦戦する構造的な理由
▶ 小規模でも生き残っている事業所の共通点
▶ 訪問介護こそ「営業」が生死を分ける理由
先日、訪問介護事業所の廃業手続きをサポートしました
本題に入る前に、最近あった出来事をお話しさせてください。
先日、ある訪問介護事業所の廃業手続きのサポートをさせていただきました。代表の方は、本当にお人柄の良い、誠実な方でした。
廃業の理由は明確でした。
「収益確保と人材確保、この両方で厳しくなった」
利用者を確保しきれず売上が伸びない。売上が伸びないから処遇改善の原資も限られる。給与で競合に勝てないからヘルパーが採用できない。ヘルパーがいないから、依頼が来ても受けられない——。
この負のループから抜け出せなくなった、というお話でした。
真面目に、丁寧に、地域の利用者さんのために尽くしてこられた方です。その方が事業を畳まざるを得ない。この現実を前に、私はコンサルタントとして改めて強く思いました。
「良い事業所」であることと「続けられる事業所」であることは、残念ながらイコールではない。
そして、その差を埋めるものが何かを、今回の統計データが明確に示しています。
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🔴 訪問介護の事業所数は3万5,506ヵ所で過去最多
厚生労働省が7月末に公表した最新の統計によると、今年4月審査分の訪問介護の事業所数は全国で3万5,506ヵ所。前年を9ヵ所上回り、これまでで最も多くなりました。増加はこれで7年連続で、2020年代に入ってからの微増傾向に、今年も大きな変化は見られませんでした。
数字だけを見れば、訪問介護市場は「成長している」ように見えます。
しかし、現場の実感はまったく違うはずです。それもそのはず、同じ時期に訪問介護の倒産件数は過去最多を記録しているからです。
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🔴 「事業所数は最多、倒産も最多」という矛盾の正体
この一見矛盾する状況には、明確な理由があります。
訪問介護がこうした状況になっている背景要因の1つには、事業者の新陳代謝や業態の転換があるとみられます。中堅・大手の法人などは、都市部を中心に介護ニーズの拡大が続くとにらんで事業所の展開を進めています。また、有料老人ホームなど集合住宅の入居者を支える併設型の事業所も以前より増えました。
一方で、こうも指摘されています。
ホームヘルパーの争奪戦も含めて事業所間の競争が激化し、撤退・廃業を余儀なくされるところがある。昨年の訪問介護の倒産件数は過去最多。とりわけ、地域の利用者宅を個別に訪ねる小規模な事業所の苦境が鮮明です。
つまり、こういうことです。
▶ 増えているのは:大手・中堅法人の新規展開、集合住宅併設型の事業所
▶ 減っているのは:地域の利用者宅を個別に訪問する小規模事業所
事業所数は増えている。しかし、その中身は入れ替わっています。
これは「業界の成長」ではなく「業界構造の転換」です。私が先日サポートした廃業も、まさにこの構造のなかで起きた出来事でした。
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🔴 なぜ大規模法人は強いのか
統計が示すとおり、大規模法人は圧倒的に強い立場にあります。その理由は3点に整理できます。
▶ ① 集合住宅併設型という効率的なモデルを持っている
有料老人ホームやサ高住に併設した訪問介護は、移動時間がほぼゼロです。同じ建物内でサービスを提供できるため、1人のヘルパーが担当できる件数が個別訪問型とは比較になりません。生産性が構造的に高いのです。
▶ ② 採用力で圧倒できる
規模が大きければ介護報酬総額も大きく、処遇改善加算の入金額も大きくなります。給与水準で優位に立てるため、ヘルパーの争奪戦で勝ちやすい。しかも複数事業所を持つため、教育体制やキャリアパスも整備しやすい。
▶ ③ スケールメリットで固定費を吸収できる
事務・請求・労務・研修などのバックオフィス機能を集約でき、1事業所あたりのコストを抑えられます。物価高騰の影響も相対的に受けにくい構造です。
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🔴 では、小規模事業所はすべて厳しいのか
ここが本記事で最もお伝えしたい部分です。
答えは「NO」です。
弊社がコンサルで関わってきたなかにも、しっかりと地域に根差して健全に運営されている小規模事業所は数多くあります。
規模の大小が、そのまま経営の良し悪しを決めるわけではありません。厳しいのは事実ですが、「小さいから終わり」ではないのです。
では、生き残っている小規模事業所と、廃業に追い込まれる事業所は何が違うのか。
弊社が現場で見てきた限り、その差は明確です。
✅ 地域のケアマネジャー・地域包括支援センターとの関係が構築できている
✅ 「あの事業所ならこれができる」という明確なウリを持っている
✅ 依頼が来る仕組み=営業の導線ができている
✅ 収益を確保し、処遇改善で職員に還元できている
逆に言えば、廃業に至る事業所は、この「依頼が来る仕組み」=営業が欠けているケースが圧倒的に多いのです。
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🔴 訪問介護こそ「営業」が生死を分ける
訪問介護において、この構図は他のどのサービス種別よりも顕著に表れます。
収益確保 → 処遇改善の増加 → 採用に強くなる
なぜ訪問介護でこれが顕著なのか。理由は訪問介護の報酬構造にあります。
訪問介護は「ヘルパーが訪問した分だけ」が売上になります。施設のように箱があるわけではなく、人が動いた分がそのまま収益です。だからこそ、
▶ 依頼が少ない → 売上が立たない → 処遇改善が薄い → ヘルパーが採れない
▶ ヘルパーが採れない → 依頼が来ても受けられない → さらに売上が立たない
この負のループが、他サービスよりも速く、深く進行します。
逆に、依頼が安定して入る事業所は、
▶ 依頼が多い → 売上が伸びる → 処遇改善を月額給与に手厚く配分できる → ヘルパーが集まる
▶ ヘルパーが増える → より多くの依頼を受けられる → さらに売上が伸びる
という好循環に入ります。
この分岐点に立っているのが「営業」です。
参考までに、2025年度介護労働実態調査ではホームヘルパーの不足感が82.9%と7職種中最も高く、また採用に最も効果があった方策は「賃金水準の向上」(38.4%)でした。人材難が最も深刻な訪問介護だからこそ、給与で勝つための原資=売上の確保が決定的に重要になります。
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🔴 訪問介護の営業で、具体的に何をすべきか
「営業が大事なのはわかった。では何をすればいいのか」——この問いに答えます。
▶ ① 居宅介護支援事業所・地域包括支援センターへの定期訪問
訪問介護の依頼元は、圧倒的にケアマネジャーです。エリア内の居宅介護支援事業所・地域包括支援センターをリスト化し、定期的に顔を出す仕組みをつくることが第一歩です。
▶ ② 「ウリ」を明確にして伝える
「何でも対応します」では記憶に残りません。「うちは早朝・夜間に対応できる」「医療的ケアが必要な方も受けられる」「生活保護の方も対応可能」——ケアマネが「この人ならあの事業所だ」と即座に思い出せる強みを言語化してください。
▶ ③ 断らない体制づくり(またはウリの再設計)
依頼が来ても人員不足で断り続けると、ケアマネからの依頼は止まります。人員的に難しい場合は、対応できる範囲・時間帯を明確に伝え、「その条件なら確実に受けられる」という信頼を築くほうが得策です。
▶ ④ 営業を数字で管理する
弊社のデータでは、訪問件数が最多の事業所(1,049件)の問い合わせ率が9%にとどまる一方、訪問件数が最少の事業所(300件)が問い合わせ率21%を記録しています。訪問件数・問い合わせ率・成約率を数値で管理し、どこにボトルネックがあるかを特定してPDCAを回してください。
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まとめ:規模ではなく「営業の有無」が生死を分けます
訪問介護の事業所数が過去最多を更新する一方で、倒産件数も過去最多。この矛盾の正体は、業界構造の転換でした。
✅ 増えているのは大手・中堅法人の展開と集合住宅併設型
✅ 減っているのは地域の利用者宅を個別訪問する小規模事業所
✅ ただし、小規模でも地域に根差して健全運営している事業所は多数ある
✅ その差を生むのは「依頼が来る仕組み」=営業力
✅ 収益確保 → 処遇改善の増加 → 採用に強くなる、この構図は訪問介護で最も顕著
私が先日サポートした廃業も、決して代表の方の人柄や志の問題ではありませんでした。営業という仕組みが足りなかった——それだけのことです。
だからこそ声を大にして言います。
営業です。営業。
真面目に地域に尽くしている事業所が、営業を知らないというだけで消えていく。この状況を、私は一人でも減らしたいと思っています。
「利用者が増えない」「ヘルパーが採用できない」「営業のやり方がわからない」——そのような課題を抱えている法人は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。
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無料相談受付中
株式会社Ne-worth(ニューワース)
代表取締役 森中 洋(もりなか よう)
社会福祉士 / 老健・特養・地域密着型特養にて支援相談員・企画広報部長・事務長を歴任後、独立。現在15法人のコンサル・顧問に従事。
対応施設種別:介護老人保健施設・特養・住宅型有料老人ホーム・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅・訪問介護・訪問看護・障がい事業(共同生活援助・就労継続支援B型)
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【出典】
▶ 厚生労働省「介護給付費等実態統計」(2026年7月末公表・今年4月審査分)
▶ 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」





