外国人材か、営業力か|特定技能の上限が迫るいま介護経営者が本当に選ぶべき道【大阪の介護コンサル】
この記事でわかること
▶ 介護分野の特定技能受け入れ枠の最新数値と、上限到達までの残り
▶ 特定技能1号は「転職が自由」——枠を確保しても人が残らない構造
▶ 外国人材と営業力、経営者が本当に選ぶべきはどちらか
▶ 超・人手不足時代にサービスを守る唯一の打開策
結論:枠を取っても、給与で負ければ人は残りません
まず結論からお伝えします。
特定技能の枠をどれだけ確保しても、賃金水準で競合に負ける施設からは人が去っていきます。そして賃金水準を支えるのは稼働率であり、稼働率を支えるのは営業力です。
なぜそう言い切れるのか。制度の事実関係から順に整理していきます。
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🔴 まず事実確認——介護分野の受け入れ枠はいくつなのか
議論の前提として、正確な数字を押さえておきます。
▶ 最新の受け入れ上限は「16万700人」
政府は2026年1月23日の閣議で、新制度「育成就労」と既存の「特定技能」の分野別運用方針を決定しました。2029年3月末までの介護分野の受け入れ上限は、特定技能12万6,900人・育成就労3万3,800人の計16万700人です。
これは2024年3月に決定された従来の枠組み(特定技能のみで13万5,000人/2024〜2028年度)に育成就労を加えて再設計されたもので、総枠としては拡大しています。
なお、この数字は「受け入れたい人数」ではありません。国内人材の確保と生産性向上を最大限行ってもなお埋まらない不足分として算出されたものです。
▶ 現状は約半分の充足率、しかし増加ペースは急
では、実際にどこまで埋まっているのか。
2025年末時点の特定技能介護の在留者数は6万7,871人。枠に対して約半分の充足率です。「いますぐ上限に到達する」という段階ではありません。
ただし、推移を見ると事情が変わります。
▶ 2020年末:939人
▶ 2021年末:5,155人
▶ 2022年末:1万6,081人
▶ 2023年末:2万8,400人
▶ 2024年末:4万4,367人
▶ 2025年末:6万7,871人
コロナ禍を含めて倍々に近いペースで増え続けています。このペースが続けば、2027年頃に上限到達の可能性を指摘する見方も出ています。
▶ 現実に起きた「上限到達による停止」
これは机上の懸念ではありません。2026年4月、外食業分野では受け入れ見込数(5万人)の超過が見込まれたため、特定技能1号の新規受け入れが原則停止されました。
介護分野でも同じことが起こり得る——この前提で採用戦略を組む必要があります。
▶ 事業所単位にも上限がある
さらに介護分野には、事業所ごとの制限もあります。受け入れ可能な特定技能1号の人数は、原則としてその事業所の「日本人等の常勤介護職員」の総数まで。そして特定技能1号の外国人自身は、この常勤介護職員数にカウントされません。
つまり、日本人職員が少ない事業所ほど外国人材も受け入れられないという構造です。人手不足の施設ほど枠が小さいという、皮肉な現実があります。
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🔴 「扉を狭めてよいのか」という問題提起には共感します
こうした状況下で、外国人材の受け入れ枠を狭める方向性に対して「本当にそれでよいのか」という問題提起が出るのは当然です。
介護現場の人手不足は、もはや「深刻」という言葉では足りません。2025年度介護労働実態調査では、人材不足を訴える事業所は65.8%、ホームヘルパーに至っては82.9%が不足を訴えています。
2040年には約272万人の介護職員が必要とされ、2022年時点の215万人から約57万人の純増が求められます。生産年齢人口が減少するなかで、国内人材だけでこの数字を満たすことは現実的ではありません。
この問題意識には、私も全面的に共感します。
なお、2025年4月からは訪問介護でも特定技能・技能実習の従事が解禁されました。ヘルパー不足82.9%という状況を踏まえれば、これ自体は歓迎すべき動きです。
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🔴 しかし、経営者が向き合うべきは別の現実です
ここからがコンサルタントとしての本題です。
制度の行方は、私たち事業者にはコントロールできません。枠が緩和されるかもしれないし、より厳しくなるかもしれない。
では、制度の議論を待っている間、自分の施設をどう守るのか。
ここで極めて重要な事実を一つ、確認しておきます。
▶ 特定技能1号は「転職が自由」です
技能実習と特定技能の決定的な違いがここにあります。
特定技能1号の外国人は、制度創設時から同一分野内での転職が認められています。技能実習のように「原則転籍不可」ではありません。
つまり——
枠を確保して採用しても、条件の良い施設が近くにあれば、そちらへ移っていきます。
これは将来の話ではなく、すでに現実に起きていることです。私がコンサルの現場で見てきた限り、外国人材を受け入れている施設でも「定着している施設」と「定着しない施設」ははっきり分かれています。
そして定着しない施設には、明確な共通点があります。
▶ 給与水準が競合より低い
▶ 教育・生活サポート体制に投資する余力がない
▶ 結果として、育成した人材が他法人へ流れていく
▶ 育成就労の開始で、流動性はさらに高まります
2027年4月に始まる育成就労は、原則3年間働きながら技術を習得し、特定技能1号の水準への育成を目指す制度です。技能実習で問題視された転籍制限を見直し、介護では育成就労開始から2年経てば、本人の意向による転籍が認められます。
つまり、外国人材の流動性は今後さらに高まる方向です。
「外国人材を採用すれば人手不足が解決する」という考え方は、すでに通用しません。
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🔴 日本人も外国人も、選ぶ基準は同じです
2025年度介護労働実態調査には、極めて重要なデータがあります。
採用に最も効果があった方策は「賃金水準の向上」(38.4%)でした。
これは日本人材に限った話ではありません。転職の自由がある以上、外国人材もより良い条件の施設を選びます。人が働く場所を選ぶ基準は、国籍を問いません。
つまり、こういうことです。
特定技能の枠が広がろうが狭まろうが、給与で勝てない施設に人は集まらず、残りもしない。
制度議論の行方に一喜一憂する前に、経営者がやるべきことは明確です。
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🔴 では、給与を上げる原資はどこから来るのか
ここで多くの経営者が壁にぶつかります。
「賃金を上げたいのはやまやまだが、原資がない」
その原資の中心にあるのが処遇改善加算です。そして処遇改善加算には、決定的に重要な構造があります。
処遇改善加算の算定額は、介護報酬総額に連動します。
▶ 稼働率が低い → 介護報酬総額が少ない → 処遇改善加算の入金額も少ない
▶ 稼働率が高い → 介護報酬総額が多い → 処遇改善加算の入金額も多い
同じ加算区分を算定していても、稼働率が違えば手にする金額はまったく変わります。
しかも今後、基本報酬の大幅増は期待しにくい状況です。令和8年度の介護報酬改定率+2.03%のうち、+1.95%が処遇改善関連でした。制度は「賃上げの原資は増やすが、事業運営の原資は増やさない」方向へ進んでいます。
加算に依存せざるを得ない構造が、より強固になっているのです。
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🔴 外国人材か、営業力か——答えは明確です
誤解のないように申し上げますが、外国人材の受け入れを否定しているのではありません。むしろ積極的に取り組むべきです。
問題は優先順位です。
外国人材の枠を確保することは「入口」の話であり、給与水準を上げることは「入口と出口の両方」に効きます。
▶ 給与が高い → 日本人材も外国人材も応募が来る(入口)
▶ 給与が高い → 日本人材も外国人材も定着する(出口)
そして給与水準を決めるのが処遇改善加算であり、その額を決めるのが介護報酬総額=稼働率です。
構造はこうです。
営業力の強化
↓
稼働率の向上
↓
介護報酬総額の増加
↓
処遇改善加算の入金額が増える
↓
月額給与に手厚く配分できる
↓
日本人材・外国人材の双方から選ばれる
↓
人材が集まり、定着する
↓
サービスの質が守られる
↓
さらに稼働率が上がる
逆のループも書いておきます。
稼働率が上がらない
↓
売上が伸びない
↓
処遇改善加算が薄い
↓
給与で競合に負ける
↓
日本人も外国人も定着しない
↓
サービス提供体制が維持できない
↓
受け入れを断る
↓
さらに稼働率が下がる
この分岐点に立っているのが、営業です。
外国人材の受け入れ枠は、国が決めることです。しかし稼働率は、自分たちで上げられます。コントロールできるものに全力を注ぐ——これが経営の鉄則です。
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🔴 「営業=売上のため」ではありません
ここで一つ、強調しておきたいことがあります。
弊社が営業支援に入る際、現場スタッフに必ず伝えていることがあります。
営業は、会社の売上のためではありません。自分たちの給与と、自分たちの職場と、目の前の利用者さんのサービスを守るための行為です。
弊社が営業担当者の指導で徹底しているのは、以下の点です。
✅ 売上を上げることが、職員と利用者を守ることにつながるという認識
✅ 処遇改善加算と売上が直結しているという構造の理解
✅ 現場の苦労と努力への深い理解
✅ 他責ではなく自責思考・自分事として捉える姿勢
この構造が腹落ちしたとき、営業の質は劇的に変わります。「やらされる営業」から「守るための営業」へ。ここが最大の転換点です。
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🔴 感覚ではなく「数字」で営業を管理する
そしてもう一点、重要なことがあります。
営業は「量」ではなく「質」です。
弊社のデータでは、訪問件数が最多の事業所(1,049件)の問い合わせ率が9%にとどまる一方、訪問件数が最少の事業所(300件)が問い合わせ率21%を記録しています。
訪問件数と成果は比例しません。
必要なのは、営業活動から問い合わせ・見学・契約までの各フェーズを数値で可視化し、ボトルネックを特定してPDCAを回すことです。
弊社の支援実績では、介護老人保健施設「悠々の郷」において、数値管理の徹底により問い合わせ13→22件/月、見学7→11件/月、契約・入居5→9件/月と、全フェーズで約1.7倍の成果を実現しています。
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まとめ:制度は待つしかない、稼働率は今日から上げられる
介護分野の特定技能受け入れ枠をめぐる議論は、業界にとって極めて重要なテーマです。外国人材の扉が狭まることへの懸念は、私も共有しています。
しかし、経営者として押さえるべきはその先です。
✅ 2029年3月末までの介護分野の受け入れ上限は16万700人
✅ 2025年末の在留者は6万7,871人。倍々のペースで増加し上限到達が懸念される
✅ 外食分野では2026年4月に上限到達で新規受け入れが原則停止された
✅ 特定技能1号は同一分野内での転職が自由——枠を取っても人は残らない
✅ 育成就労の転籍解禁で、流動性はさらに高まる
✅ 採用に最も効果があった方策は「賃金水準の向上」(38.4%)
✅ 賃金の原資は処遇改善加算、その額は介護報酬総額=稼働率に連動する
外国人材か、営業力か。答えは「両方」です。ただし順序があります。
給与で勝てる体力をつけなければ、枠を確保しても人は残りません。そしてその体力をつくるのが、稼働率であり営業力です。
超・人手不足時代にサービスを守る打開策は、営業力の強化しかありません。
「稼働率が上がらない」「人材が採用できない」「営業のやり方がわからない」——そのような課題を抱えている法人は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談は無料です。
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無料相談受付中
株式会社Ne-worth(ニューワース)
代表取締役 森中 洋(もりなか よう)
社会福祉士 / 老健・特養・地域密着型特養にて支援相談員・企画広報部長・事務長を歴任後、独立。現在15法人のコンサル・顧問に従事。
対応施設種別:介護老人保健施設・特養・住宅型有料老人ホーム・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅・訪問介護・訪問看護・障がい事業(共同生活援助・就労継続支援B型)
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【出典】
▶ 政府「育成就労・特定技能の分野別運用方針」(2026年1月23日閣議決定)
▶ 厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
▶ 出入国在留管理庁 特定技能在留者数統計
▶ 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査」
※制度の上限人数・運用ルールは政府の方針変更により随時更新されます。最新の公的資料をご確認ください。





