1ヵ月半で稼働率を23%向上させた事例から読み解く職員の皆様との変革の歩み③ 【戦略の策定 篇】
個人事務所 Revenue increase(レベニュー インクリース)代表 森中 洋です。
大阪府茨木市にて介護業界専門の稼働率向上/人材確保/人材育成/経営改善/のコンサルを生業としております
老健、特養、住宅型有料、グループホーム、サ高住、訪問介護、訪問看護どのサービス種別でも対応しております。
(現在は大阪と奈良、兵庫にてコンサル、顧問活動の計5件)
お読み頂いた方に少しでも有益な情報を伝えたくブログを書かせて頂いております。
前回は文書量が多くなるため、急遽ビジョンと戦略をわけて2.5verとして書かせて頂きました。
大変申し訳ありませんでした。

本日は「1ヵ月半で稼働率を23%向上させた事例から読み解く職員の皆様との変革の歩み③」を書かせて
頂きます。
ここでお話するのは、実際に奈良県の介護老人保健施設で行った具体的なコンサル内容になります。
今どの介護施設も変革の岐路に立たされております。
ここで変革を行えたかどうかで、今後の厳しい世の中を生き残る事も可能になるかと思います。
実際に変革をする際にどのような手順で進めるのか?
そのヒントにして頂ければ幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
1ヵ月半で稼働率を23%向上させた事例から読み解く
職員の皆様との変革の歩み③
【戦略の策定 篇】
前回は【ビジョンの策定 篇】として書かせて頂きました。
前回をまだの方は下記をどうぞ。

https://revenue-increase.jp/blogdetail?wgd=blog-45
今回は戦略についてです。
いわゆる目的地までの地図ですよね。
ゴール設定、期間を決めその途中途中でクリアする
目指すべき数値目標を設定する。
そしてその目標をクリアするための具体的な戦術を決め
実施していく。
【最重要課題のブレない共有】
【ビジョンの策定】
上記2つの内容に負けず劣らず非常に大切なポイントです。
では私が奈良県の介護老人保健施設でどのような戦略を立てたのか?
実は様々な分析を行い、短期的、長期的に結果を出すための秘策を7つ用意し、戦略に
組み込みました。
名称は【起死回生の7つの秘策】です❗❗
今思えばたいそうな名前ですね(笑)
では【起死回生の7つの秘策】をお伝え致します。
【起死回生の7つの秘策】
➀入所判定会議の撤廃
②薬価の上限基準の撤廃
③営業方法の刷新
④加算の見直し
⑤人員配置の見直し
⑥処遇改善加算のⅢ→Ⅰへの変更
⑦新たな採用方法の提案
これらです❗❗
この上記7つをビジョンに合わせ、期日(いつまでにやるのか?)を決め、
数値目標を決め、具体的な戦術に落としていきました。
これを見てすごい!!って感じた方は介護・福祉業界に精通してますね❗❗
特に「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」こんな事ができるの?
と感じたのではないでしょうか?
この➀、②は介護老人保健施設ならではのルールなんです。
※「➀入所判定会議の撤廃」は特別養護老人ホームにもございます。
この➀と②が入所の稼働率やスムーズな入所を阻害している一番の要因なんです。
「➀入所判定会議の撤廃」
基本は絶対に行っております。施設長である医師や看護師、リハビリ、栄養士、介護士、相談員、ケアマネジャーなどが
週1~2回決まった曜日、時間に実施しております。
簡単に言うと入所申込があったご利用者を入所できるかどうか、ふるいにかける会議なんです。
会議の最高決定権者は医師、その次が看護師、この2人の同意を得る事が非常に大変なんです。
「②薬価の上限基準の撤廃」
これも介護老人保健施設独特なルールなんです。本来特別養護老人ホームなどでは薬などは嘱託士医が処方箋を切り、提携薬局で処方して
もらう流れで、医療保険が適用になります。
自宅で生活している方々も当然そのような流れです。
ただし介護老人保健施設は違います。
施設の持ち出しになるのです。
なので薬を沢山飲んでいる方や、少なくても薬価が高い方は断るという事が非常に
多くあります。
薬価の基準を月上限1万としているところもあるぐらいです。
今回の戦略策定の目玉が、まさに「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」の2つ
でした。これは対外的にも大きな効果があります。
病院のショーシャルワーカーや居宅介護支援事業所のケアマネジャーは医療度のニーズの高い
ご利用者や、薬価の高いご利用者などは介護老人保健施設に入りたくても入れない現状を
良く知っております。
だからこそ、「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」が衝撃なんです。
ありえない事なんです❗❗
ここで1つ。
じゃあ他の介護老人保健施設もなくしたらいいんじゃないの?
と思われるかもしれません。
ここが普通は無理なんです。

なぜか?

それは、施設長である医師や看護師が強く反対するからです。
反対の理由は?
➀入所判定を撤廃=誰でも入所を受けるになると、ADLの低い方や、認知症の強い方、
医療ニーズの高い方を受けないといけなくなる。
②薬価の上限基準をなくすと、薬を多量に飲んでいるご利用者が入所し、薬剤管理が
大変になる。
③薬剤などの経費が沢山かかる
これらが全てではありませんが、概ねこのような医療側の視点での拒否が入るんです。
最高決定権者の医師がそうそう意見を変える事なんてありません。普通は無理なんです。
医師って頑固でしょ(笑)
だからこそ、その無理な事を実現できた時の周囲の衝撃は本当にすごかったです。
【重要ポイント】
競合他社が真似できない優位性、希少性の創設及び継続
このポイントを戦略に折り込む事が短期的に経営を立て直す場合、非常に重要だったんです。
介護業界の市場は狭いです。
様々なサービス種別がご利用者を取り合います。
その中で生き残っていくには、様々な企画立案をして生き残る手段を模索しなければ
いけません。
また今回は特に経営の立て直しもあり、時間の猶予はありませんでした。
なので、圧倒的な優位性や希少性を出さなければ短期的な変革は出来ないと考えたんです。
この発想は介護老人保健施設だけではなく特別養護老人ホームもデイサービスも
通所リハも有料老人ホームにも使えます。
当然、一般企業や飲食店なんかも使えます。
【重要ポイント】
「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」のを
戦略に組み込んだ際に決めた具体的な戦術(例)
・2ヵ月で稼働率を20%上げる
・来月末には「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」を確実に行う。
・いつまでに撤廃に向けた管理職で話し合いを行うのか?
・いつまでに「➀入所判定会議の撤廃」「②薬価の上限基準の撤廃」をウリにしたチラシを
誰が作成するのか?
・いつまでにチラシを作成するのか?
・チラシを持って営業にはいつからいくのか?
・誰が営業にいくのか?
・どこの営業に、月何件行くのか?
・実施に関してのチェックは誰がするのか?
・入所判定をなくすので医療ニーズや平均介護度が上がる
現場の職員への説明と理解はだれがするのか?いつするのか?
奈良のコンサル先ではこれらを戦略に具体的に盛り込みました。
実際の実務はっ戦略にのらないもっと細かな調整ややる事が多々ありました。
それを文面で明確に出しました。
口頭では絶対にだめです。
忘れてしまうので。
今回は【戦略の策定 篇】という事なので、特に目を引く「➀入所判定会議の撤廃」
「②薬価の上限基準の撤廃」を中心にお話をしました。
ここに書いた以上の細かな内容を煮詰め、決めてすすめました。
たった2つでもこんなにも多いんです。
それを7つ行うんですから変革は非常に苦慮します。
でもここまでの事をしなければ変革は成し遂げる事は出来ないという事を
理解して頂ければ幸いです。
ただ残りの③~⑦も非常に重要で大切な内容ですが、今回は割愛させて下さい。
またの機会にしっかりとお話させて頂きますね。
次回は【危機感を高める 篇】【戦略の理解と同意 篇】をお伝え致します。
次回のブログも楽しみにお待ちください。
いつも長文お読み頂きありがとうございます。